マネジメントにある意外な落とし穴

政治・経済

有能な有害な社員こそ最も危険?組織を壊す要因とは

組織において最も恐れるべきは「有能な敵」ではなく「無能な味方」と言われることがあります。この言葉は、ナポレオンが言ったとされます。しかし、実際に企業の生産性や組織文化を考えたときに、最も害を及ぼすのは「有能で有害な社員」です。その次に「無能で有害な社員」が問題になります。この記事では、これらの社員が企業にもたらす影響と、どのように対策をすべきかについて解説します。

1. 有能・無能 × 有害・無害のマトリクス

社員を「有能・無能」と「有害・無害」の二軸で分類すると、次のようなマトリクスが作成できます。

このマトリクスを基に、各タイプの社員が組織に与える影響を考えていきます。

2. なぜ「有能な有害な社員」が最も危険なのか

一見すると、有能な社員は企業にとって貴重な存在に思えます。しかし、コンプライアンス違反や不正行為を犯すような「有能な有害な社員」は、短期的には業績向上に貢献するものの、長期的には組織文化を崩壊させ、優秀な社員の流出を招きます。

特徴

  • 業績は優秀だが、組織文化を破壊する
  • 基本的な「報連相」などができない
  • 周囲のモチベーションを低下させる
  • 規律を無視し、自分勝手に行動する
  • 他の社員の離職を誘発する

このような社員は、しばしば「トキシックワーカー(有害社員)」と呼ばれます。トキシックワーカーは、企業の評判を損ない、職場の士気を低下させ、周囲の社員のパフォーマンスに悪影響を及ぼす存在です。特に、成果を出すが態度や行動が問題視される「ブリリアントジャーク(才気煥発だが扱いにくい人物)」は、短期的には重宝されるものの、組織全体の健全性を損なうリスクが高いため注意が必要です。

3. 無能で有害な社員のリスク

無能で有害な社員は、業績に貢献しないだけでなく、社内の人間関係を悪化させる要因になります。このタイプの社員は、自らの低いスキルを隠すために他人を攻撃したり、チームワークを乱す行動をとることが多いです。

特徴

  • 業務スキルが低い
  • 職場の人間関係を悪化させる
  • トラブルメーカーとしての傾向が強い
  • コンプライアンス意識が低い
  • 仕事を抱え込んで人に渡さない

このタイプの社員は組織にほとんどメリットをもたらさず、速やかに対処すべき対象となります。

4. それでも無能で無害な社員はチャンスがある

「無能で無害な社員」は、スキルが低いため即戦力にはなりませんが、職場の雰囲気を壊すことはなく、適切に育成すれば成長する可能性があります。

特徴

  • 業務スキルは低いが、人間関係に悪影響を与えない
  • 協調性があり、成長の余地がある
  • 指導次第で戦力化できる可能性がある
  • 指示されたことはするが自発性が低い
  • やろうかどうか迷っていることがある

このタイプの社員に対しては、適切な育成を行い、能力を引き出すことが重要です。

5. 組織を健全に保つための対策

1. 採用段階でのリスク検証

  • リファレンスチェックを徹底する
  • 構造化面接を活用し、価値観や倫理観を評価する
  • ワークサンプルテストを実施し、実際の業務能力を確認する

構造化面接は、全応募者に同一の質問を行い、事前に定めた評価基準で判断する面接法です。面接官間の評価の統一により、公平性と客観性が担保され、選考プロセスの透明性と信頼性が向上します。採用の質を高める重要な手法です。

2. 使用期間を有効活用する

  • コンプライアンス意識やチームとの適応力を観察
  • 問題が発覚した場合は早期に対応する

3. 組織文化の維持

  • 有害行動が発覚した場合は迅速に対処し、場合によっては解雇も検討する
  • 定期的なフィードバックを行い、社員の行動をチェックする
  • 倫理観や協調性を重視した評価制度を整備する

まとめ

組織の健全な成長のためには、「有能な有害な社員」を最も警戒すべきであり、次に「無能で有害な社員」の早期対処が重要です。一方で、「無能で無害な社員」は育成次第で戦力化できる可能性があり、適切な指導が求められます。

ナポレオンが言ったとされる「真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方」という言葉が示唆するように、組織の持続的成長には、社員の能力だけでなく、その行動や価値観が企業文化に与える影響を見極めることが重要です。

最終的に、採用から人事評価、組織文化の維持に至るまで、企業が戦略的に取り組むことが、健全で生産性の高い職場を作るカギとなります。

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