『60歳からは自分ファーストで生きる』(草野かおる著)は、50代・60代以上の方々に向けた、これからの人生をより充実させるための指南書です。これまで家族や他人のために生きてきた多くの人々に、自分の時間を優先する生き方を提案しています。著者の草野かおるさんは、防災関連の著書でも知られ、53歳で作家デビューを果たしてから数々の実用書を執筆してきました。その彼女が本書で語る「自分ファースト」のライフスタイルは、単なる自己中心的な生き方とは一線を画し、周囲の理解を得ながらも自分を大切にする生き方です。
自分ファーストとは?その本質と意義
本書のメインテーマである「自分ファースト」とは、自分勝手とは違う、周囲に配慮しつつも自分を優先するという考え方です。特に注目したいのは、長年家族や仕事に尽くしてきた女性たちが、自分を犠牲にしてしまいがちな現実を見直す提案が含まれていること。草野さんは「自分を優先することは罪ではなく、むしろこれからの人生をより豊かにするために必要なステップ」だと説いています。自分を大切にすることで心の余裕が生まれ、その結果、家族や周囲の人々とも良好な関係を築けるようになるというのが本書の核心です。
各章の詳細な内容解説と注目ポイント
- 第1章:マインドを変える
- 幸福は自分で決める: 草野さんは、「自分の幸福を自分で決める」という考え方を勧めています。これまで他人に期待しすぎて自分を失っていた人に、まずは自分の基準を持つことの大切さを教えてくれます。
- 見栄やプライドを捨てる: 「他人の目を気にしすぎて生きるのをやめよう」と提案するこのセクションは、自由でシンプルな生き方を目指す方に特に響く部分です。「気の進まない付き合いをやめる」「嫌いな人とは関わらない」など、心を軽くする具体的なアクションも紹介されています。
- 死ぬまでにやりたいことリスト: 自分の人生において本当にやりたいことを見極め、その実現に向けて行動することを推奨しています。
- 第2章:人間関係を考える
- 孤独を恐れない: 「孤独や独りをネガティブに捉えるのではなく、むしろ自分の時間を楽しむ機会と考えるべき、孤独ではなく個独と表現」と草野さんは述べています。多くの人が避けがちな孤独を前向きにとらえることで、新たな生きがいが見つかるかもしれません。
- 人間関係を見直す: 家族や友人、親戚との関係を見直し、無理をして続けている関係を断つ勇気も時には必要です。特に「他者の意見に振り回されない」「必要な距離を取ることが円満な人間関係につながる」といった考え方は、心に余裕を持たせるヒントになります。
- 第3章:生活習慣を変える
- 無駄を省く: 「不要な生命保険やイベントをやめる」といった具体的な提案が数多く紹介されています。日常生活の中で無駄を減らすことで、自分の時間とお金を効率よく使うことができるようになります。草野さんは、特に「一日でも早く無駄な支出を見直すことの大切さ」を強調しています。
- 健康的な生活: 食事や運動、日々の習慣を見直し、健康を維持することの重要性が語られています。「毎日のジャンクフードをやめる」「睡眠を大切にする」など、日常に取り入れやすいアドバイスが満載です。
- 第4章:健康を考える
- 実践的な健康管理: 本章では、健康に関する具体的なアドバイスが多く盛り込まれています。「サプリは魔法の杖ではない」という一節では、薬やサプリメントに頼らない健康的な生活のヒントが紹介されています。また、「自治体のサービスを調べる」「骨を強くする運動をする」など、年齢に応じた健康法も詳しく解説されています。
- 病気予防の心得: 定期検診を受けることや、適度な運動を取り入れることが推奨されています。草野さんは「自分の健康は自分で守る」という心構えを持つことの重要性を説いています。
- 第5章:環境を変える
- 住環境の改善: 住まいを快適に保つことで、心の安定も得られると草野さんは述べています。「本棚を断捨離する」「冷蔵庫を整理する」など、すぐに実践できる環境改善のヒントが盛りだくさんです。
- 洋服の見直し: 「その服、引き出しひとつから始めよう」という一文は、衣類整理を楽しむ提案です。年齢を重ねても快適に過ごせるような衣服選びのアドバイスも含まれています。
- 第6章:冒険しよう
- 新しい挑戦を楽しむ: 「ひとりランチでプチ冒険」「遺跡巡りをする」など、身近なところから始められる冒険が紹介されています。これまでの自分から一歩踏み出して、好奇心を大切にする生き方が提案されています。
- 趣味の充実: 無料職業訓練やボランティア活動など、これまで経験したことのない活動に挑戦することの重要性が説かれています。草野さんは、「趣味を見つけることで生活が豊かになる」とアドバイスしています。
書評・感想|草野かおるさんが教える「自分ファースト」の大切さ
本書を読んで特に心に響いたのは、「自分を大切にすることで周囲も幸せになる」というメッセージです。「自分ファースト」とは、家族や周りの人々のためにも自分を大事にする生き方。これまで「家族のため」「子供のため」と生きてきた方にとって、自分の幸せを追求することはなかなか簡単ではありません。しかし、草野さんは、「自分が幸せでなければ、家族も幸せにはなれない」と明確に語り、読者の心に前向きなエネルギーを与えてくれます。
特に印象に残ったのは、「一人旅を楽しむ」や「SNSで自分の活動を発信する」といった具体的なアドバイスです。これは、60歳を過ぎたからこそ、新しいことに挑戦する楽しみを実感できる提案だと思いました。今までの自分にとらわれず、自由に生きることへの後押しが本書の至るところに込められています。
読みやすさと実用性が魅力
本書は四コマ漫画が多く盛り込まれており、通勤中やちょっとした空き時間にも気軽に読み進められます。さらに、各章で提案されている内容が非常に実践的で、日常生活に取り入れやすいのも大きな特徴です。「冷蔵庫を整理する」「簡単に作れる健康レシピ」など、すぐに実行できるアイデアが多く、読みながら自分の生活を見直すきっかけを得られるでしょう。
自分ファーストな生き方で人生を再スタート
「自分ファースト」と聞くと、自己中心的なイメージを持つかもしれませんが、本書が伝えるのは、自分を大事にすることで他者とも円満な関係を築くというポジティブな考え方です。人生100年時代と言われる今、60歳を超えてもまだまだ新しいことに挑戦できる余地があります。この本は、年齢にとらわれず自分らしい生き方を見つけるための最良のパートナーになるでしょう。
「60歳からは自分ファーストで生きる」は、自分を大切にする勇気を与えてくれる一冊。これまでの生き方を見直し、自分らしい豊かな人生を築きたい人には、ぜひ手に取っていただきたい本です。
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