世の中には「ペイ・フォワード(Pay It Forward)」という考え方があります。これは、自分が受けた恩をその相手に返すのではなく、別の誰かに送ることで、善意の連鎖を生み出すというものです。いわゆる「恩返し」ではなく「恩送り」の考え方です。この考え方は、映画『ペイ・フォワード 可能の王国』でも有名になりました。私もこの考え方を実践してみたのですが、思ったようにいかないこともありました。
60歳を過ぎたら恩返しする還元期だと考えていた
私は昔から、60歳を過ぎたら世の中に恩返しをする「還元期」だと考えていました。長年にわたり多くの人から助けられ、学び、経験を積んできたからこそ、しかし、「恩返し」ではなく、社会に対して「恩送り」することが必要なのだと感じています。ペイ・フォワードはその実践の一つの形です。

ペイ・フォワードを実践してみた結果
実際に試してみると、ペイ・フォワードがうまく機能しない場面もあります。例えば、スターバックスで後ろの人のコーヒー代を支払うという「ペイ・フォワード」が話題になったことがありますが、日本ではこのような行為が戸惑いを生むことが多いです。「なぜ見知らぬ人が自分の分を払うのか?」と不審がられたり、店員さんが困惑することもありました。
また、ある時、知人のために仕事を紹介したことがありました。これは善意で行ったことだったのですが、結果的にうまくいかず、知人から「期待していたものと違った」と言われてしまいました。こちらとしては純粋に助けたいという気持ちだったのですが、相手の期待とズレていたのかもしれません。
それでもペイ・フォワードを続ける理由
ペイ・フォワードは時に難しいこともあります。しかし、それを続けることで、人とのつながりや新たな機会が生まれることも多いです。YouTubeやブログで情報を発信する目的も同じです。誰かの役に立ちたいという想いで発信していると、それを受け取った人がさらに他の人に価値を提供することにつながります。
結局のところ、ペイ・フォワードは「縦のつながり」のようなものだと考えています。自分が誰かに価値を提供することで、その人がまた別の誰かに価値を提供する。この積み重ねが、やがて巡り巡って自分にも良い影響を与えることになるのです。
Givers Gainの哲学とペイ・フォワード
私はビジネスのネットワーク組織であるBNIに属しています。BNIでは「Givers Gain(ギバーズ・ゲイン)」という哲学が根付いています。これは「人に与えることで、自分も得ることができる」という考え方です。ここでは、自分が何かを提供することで、結果的に自分にも良いことが返ってくるということを実体験として学びました。
ペイ・フォワードとGivers Gainの哲学はとても似ています。人に何かを与えることは、必ずしも直接的なリターンを求めるものではありません。しかし、それが回り回って社会全体に良い影響を与え、結果的に自分にも良い形で返ってくることがあるのです。
ペイ・フォワードを実践する方法
では、私たちが日常でできるペイ・フォワードの実践方法にはどのようなものがあるでしょうか?
- 身近な人にちょっとした親切をする
- 例えば、家族や友人に感謝の気持ちを伝えたり、ちょっとしたプレゼントを渡したりする。
- そんなことでいい。ドアを開けてあげる。荷物を持ってあげる。声をかけてあげる。手間ひまかけなくても、できることはたくさんあるはず。
- 情報をシェアする
- SNSやブログ、YouTubeを通じて、自分が学んだことや役に立つ情報を共有する。
- 自分が知らなかったことを知ることで驚いたことがあるように、他の人にも価値があるかもしれない。
- 「こんなことはみんな知っているだろう」という思い込みはなくすこと。自分で勝手に「これは役に立たない」と判断せず、幅広い情報を提供することで、予想以上に多くの人に役立つ可能性がある。
- 困っている人を助ける
- 道に迷っている人を案内する、電車で席を譲るなど、ちょっとしたことでも相手にとっては大きな助けになることもある。
- ボランティア活動に参加する
- 直接的な利益にはならなくても、社会に貢献することで自分の心も満たされる。
- 誰かの成功を応援する
- 友人や同僚が何かに挑戦しているなら、ポジティブな言葉をかけたり、彼らの活動を応援したりする。
まとめ
ペイ・フォワードは、決して完璧な仕組みではありません。時にはうまくいかないこともありますし、相手にとって望ましくない形で伝わることもあります。しかし、それを続けることで、自分自身の人生にも良い影響が返ってくることを実感できます。
「見返りを求めず、誰かに価値を提供する」ことが、最終的に自分の人生を豊かにする。いわゆる「恩送り」の考え方です。そんな考え方を、ぜひ皆さんにも試していただきたいと思います。今日からできる小さなペイ・フォワードを、ぜひ実践してみてください。
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