なぜ楽器は挫折しやすいのか?60代から始めて気づいた7つの壁と処方箋

シニアライフ

今回は、私自身の恥を忍んで、何度も楽器に挑戦しては挫折してきた経験を赤裸々に綴ってみたいと思います。少しでも「自分だけじゃなかったんだ」と感じていただけたら幸いです。

楽器に憧れる気持ちは、いくつになっても変わらない。60代になってから「昔やってみたかったこと」に挑戦する人も多い。その中でも特に人気なのが楽器。ギター、ピアノ、ウクレレ、エレキベース……。

私もその一人だった。過去にギターを少し触った経験があり、さらにアルトサックスやフルートにも挑戦したことがある。これらはそれぞれ1年ほど続けたが、最終的には継続が難しく断念することになった。楽器に対しては何度かチャレンジしては挫折を繰り返してきた。そして2024年の秋ごろには、エレキベースにチャレンジしてみた。ところが、結果として3か月ほどで完全に手を止めてしまった。今回の記事では、なぜ挫折してしまったのか、自分の実体験をもとに、「楽器はなぜ挫折しやすいのか?」という問いに向き合ってみたい。


壁①:音が出るだけで難しい

初心者にとって、そもそも「音を出す」こと自体が壁になる。エレキベースなら、左手の指で弦を押さえて、右手でリズムよくはじく必要がある。

しかし、思った以上に指が動かない。力加減も難しく、ちゃんと音が出ない。「こんなに力がいるのか?」と驚いた。ギターの時もそうだった。Fコードが押さえられず、指が痛くなり、最初の1週間で心が折れかけたことを思い出す。

この“最初の1音”が出るまでにハードルがあるのは、楽器ならではの特徴だ。


壁②:練習が孤独でつまらない

たいていの趣味は誰かと楽しむことができる。登山なら仲間がいるし、ゴルフも一緒に回れる。ところが楽器の練習は基本的に「一人きり」だ。

しかも、練習してもすぐには成果が出ない。1ヶ月経っても、まだ曲を弾けるようにならない。できることといえば、単調な基礎練習ばかり。黙々と繰り返すだけで、まるで修行のようだった。

この孤独さと、成果の見えにくさが、モチベーションを下げる原因になる。

私の場合も、家でYouTubeを見ながら一人で練習していたが、まったく手応えを感じられず、次第に練習が億劫になっていった。


壁③:成果が感じにくい

スポーツや料理なら、目に見える成果がある。ジョギングなら距離が伸びるし、料理なら見た目も味も変わる。

ところが楽器は違う。1ヶ月練習しても、耳が肥えてしまっている分、「自分の音が下手」にしか聞こえない。これが実に辛い。

しかもYouTubeを開けば、同じ初心者向け動画のコメント欄には「1週間で弾けるようになりました!」という声もある。「自分だけできていないのでは?」という不安に駆られる。

上達していないように感じると、自然と練習から遠ざかってしまう。私自身も、3か月のあいだにだんだん触る時間が減り、最後はまったくケースから出さなくなった。


壁④:身体の衰え

これはシニアならではの問題だ。指が思うように動かない。視力の低下で譜面が読みづらい。肩がこって練習が長時間できない。

若い頃なら「気合で乗り切れる」部分も、60代になると体が正直になる。

私の場合も、右肩の不調があり、ベースのポジションが取りづらくなった。結果、姿勢が悪くなり、余計に肩や背中が疲れる。こうなると、練習が楽しみではなく、苦痛になる。

健康状態と楽器の相性は、意外に見落とされがちだが、大きなポイントだ。


壁⑤:仲間がいないと続かない

一人で始める趣味ほど、続けるのが難しい。特に楽器は、ある程度弾けるようになるまでは「音楽として誰かと共有する」ことが難しい。

仲間がいれば、「このフレーズ弾けたよ」と報告できたり、「一緒にセッションしよう」と誘い合ったりできる。

だが私の場合、身近に楽器をやっている仲間がいなかった。結果として、相談もできず、練習が孤独になり、モチベーションも維持できなかった。

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壁⑥:プロや上級者の存在が毒になることも

YouTubeには素晴らしい演奏動画が溢れている。プロの技術や、天才的な小学生の演奏も見られる。

でも、これが逆効果になることもある。あまりに上手すぎて、「自分は絶対にこんな風にはなれない」と諦めてしまう。

比較の対象を間違えると、自信を失ってしまうのだ。

私も「初心者向け」と書かれた動画ですら真似できず、「自分には向いていないのでは」と思うようになってしまった。


壁⑦:目標設定が曖昧すぎる

「楽器を始めよう」と思ったとき、実は“何を目指すか”が曖昧なことが多い。「1曲弾けるようになる」ではなく、「この1フレーズを弾く」「毎日10分だけ練習する」といった具体的な目標が大切だ。

私もベースを始めた時、明確な目標を決めていなかった。だから、練習の方向性もあいまいで、「何をやっても上達していない気がする」という感覚に陥った。


結論:楽器が続く人と、挫折する人の違い

・完璧を求めすぎない ・小さな進歩を喜べる ・仲間と一緒に楽しめる ・体の状態と相談しながら練習する

これらを実践できる人は、たとえゆっくりでも楽器と付き合っていける。逆に、早く成果を出そうとしたり、孤独に抱え込んだりすると、挫折しやすくなる。


おわりに:やめても、それは無駄じゃない

私はエレキベースをやめた。3か月間、本気で取り組んでみたけれど、続けられなかった。

でも、やってみたこと自体は無駄ではなかった。

実際にチャレンジしたことで、「楽器演奏の難しさ」や「演奏者への尊敬の気持ち」が増したし、音楽を聴く耳も少し変わったように思う。

また、いつか再チャレンジする日が来るかもしれない。趣味というのは、人生の中で「細く長く」続けるものでもある。

たとえ途中でやめたとしても、それもまた「挑戦のひとつの形」だと思っている。

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