Part 2|マネジメント&アプローチ編 ― 「狙わない」戦略がスコアを変える
1. はじめに|ミス前提で設計するゴルフへ
前回のPart 1では、ゴルフにおける「考え方の転換」についてお伝えしました。
- 真っすぐではなく「運ぶショット」
- 最大飛距離ではなく「標準飛距離」
- パーではなく「ボギーオン」
この続編となるPart 2では、『実際のラウンドでどう判断し、どう打つか?』をテーマに、
「マネジメント」と「アプローチ」の2本柱で深掘りします。
2. 「狙いすぎる」ゴルフが崩れる理由
コースに出ると、ついこう思ってしまうものです。
- 「ここはパーで上がりたい!」
- 「あの木の右を通せば…グリーンオンできそう」
でも、それがスコア崩壊の始まりです。
久富章嗣さんはこう断言します。
「スコアを整えるのは、“狙うゴルフ”ではなく、“避けるゴルフ”です」
3. 軸となるのは「ドライバー150ヤード戦略」
多くのゴルファーが抱える落とし穴――
「今日イケる気がするから、240ヤード飛ばそう」という思考。
でも、それは再現性がない**“最大飛距離の幻想”**です。
久富氏が提唱するのは明快です。
✅「ドライバーは150ヤードでいい」
- キャリー150ヤード+ラン20〜30ヤード=実質180前後
- 精度が高く、フェアウェイを確実にキープできる
- スイングに力みがなくなり、ミート率が向上する
▶ 150ヤード×2本で、パー4なら3オン圏内。
これこそが月イチゴルファーの「現実的な設計」です。
4. フルスイングは“封印”せよ
飛ばそうとすればするほど、ショットはブレます。
これは誰もが体感しているはずです。
❌フルスイングの弊害
- 力みが出る
- フェースの開閉が大きくなる
- タイミングのズレがミスに直結する
✅「アゴタッチスイング」で安定性アップ
- バックスイング → 左肩がアゴにタッチ
- フォロー → 右肩がアゴにタッチ
この「ハーフスイング」だけで、ほとんどの場面に対応可能。
飛距離は落ちますが、方向性と再現性は劇的に向上します。
5. 「ボギーオン設計」がもたらす安定感
そもそも、すべてのホールでパーオンを狙うのはプロでも難しいのです。
久富氏が推奨するのは、「ボギーオン」基準の戦略。
ボギーオンとは?
| ホール | 理想の打順 |
|---|---|
| パー4 | 3打目でグリーンオン、2パットでボギー(5) |
| パー5 | 4打目でオン、2パットでボギー(6) |
| パー3 | グリーン近くに1打目を落とし、寄せ1狙い |
パーは「結果的に取れたらラッキー」で十分。
このマインドでプレーするだけで、力みが消え、スコアが整っていきます。
6. フェアウェイを“右端→左”で使い切る
「持ち球はフックで」という考え方が、ここでも活きます。
フェアウェイの使い方に革命を
- 真ん中狙い → 右か左にズレると、ラフ・OB
- フック設計 → 右端に打ち出して、左に戻すイメージでプレー
これにより、フェアウェイの“幅全体”を安全域にできるのです。
たとえば右端に打ち出して左に曲がれば、どれだけ曲がってもフェアウェイ内。
「曲がってOK」な安心感がプレッシャーを軽減してくれます。
7. 「ピンを狙わない」アプローチ戦略
ここからは、アプローチショットの話へ。
グリーン周りで大きなミスをする原因は「ピンを狙いすぎる」こと。
久富流では、こう教えます。
✅ 狙うのは「フロントエッジ」
- ピンまで120Y → 120Y打つのではない
- グリーン手前、例えば105Yの“ファーストバウンド地点”に落とす
そこから転がして寄せることで、
トップやオーバーのリスクを軽減でき、2パット圏内に収まる確率がぐっと上がります。
8. 基本は「3種類のアプローチ」でOK
アプローチには細かい技術が必要に思えますが、
久富氏は「番手で3つに打ち分ければいい」と割り切っています。
| アプローチタイプ | クラブ | シチュエーション |
|---|---|---|
| ランニング | 8〜9I | グリーン近くで転がす |
| ピッチ&ラン | PW〜AW | 少しキャリー+転がし |
| ピッチショット | SW | 浮かせて止めたいとき |
打ち方はすべて同じでOK。
番手だけを変えることで「高さ」と「ランの割合」を調整します。
9. 落とし場所を決めて打つ練習法
アプローチの命は「落とし場所の精度」です。
久富流練習法:
- 練習場で目印を置く(50Y地点)
- 各番手で、その地点に落とすショットを打つ
- 9Iで転がす、PWで乗せて転がす、SWで止める
重要なのは**「ピンではなく落下点を狙う」**という意識です。
ここが明確になることで、
距離感・方向性ともに安定し、寄せワンの確率も自然と上がっていきます。
10. 50ヤードのアプローチを極めよ
久富氏が口を酸っぱくして言うのが、
「スコアを守るのは50ヤードのアプローチ」
この距離で“ザックリ”や“トップ”を出さず、
「ピンから半径3m(直径6m)」に寄せる技術があれば、
2パットで確実にボギーで済みます。
つまり、ここが成功するだけでスコア崩壊を防げるのです。
11. アプローチにも“アゴタッチスイング”
方向性を安定させるには、振り幅を一定に保つことが重要です。
▶ アプローチでも「アゴタッチスイング」は有効
- スイングのブレが減る
- 力みがなくなり、フェースが安定する
- 振り幅の基準になるので、距離感がブレにくい
この一貫性が、ショートゲームの“安心感”を生み出します。
12. ピンを狙わない勇気が、スコアを守る
アプローチでピンを狙うと、良い日もありますが、悪い日は大崩れします。
だからこそ、
- 「狙わない」
- 「刻む」
- 「寄せる」
という**“安全優先”の発想が、トータルスコアを整えてくれる**のです。
13. まとめ|狙わない、フルショットしない、欲を出さない
このPart 2で伝えたかったのは、「安全に設計することが最大の攻めになる」という事実です。
| 誤った設計 | 正しい戦略 |
|---|---|
| ピンを狙う | フロントエッジを狙う |
| フルショットで飛ばす | アゴタッチスイングでコントロール |
| 真っ直ぐに打とうとする | フックで曲げて幅を使う |
| パーオンを狙う | ボギーオンで十分 |
次回予告|Part 3「スコア82の設計図」
最終章では、いよいよ「シングル入り」=スコア82を目指すための設計を深掘りします。
- 「ボギー×10+パー×8」の現実性
- 「プランを崩さない力」
- 「チャンスを“待つ”プレー哲学」
最終回では、1年間の具体的な設計書まで紹介します。
どうぞお楽しみに!



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