年齢を重ねると、「話がわかりやすい」「思いやりが感じられる」といった、人を惹きつける話し方がより重要になってきます。年齢や経験に応じて、自分の知識を活かし、相手に伝わるよう話す力が求められるのです。しかし、多くの方が「頭が固くなった気がする」「話がまとまらない」といった悩みを抱えていませんか?
この記事では、精神科医である和田秀樹氏の著書『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣』の内容から、60歳を過ぎても頭をよくするための「まとめる力」や「言語化力」の磨き方について詳しく紹介します。日常生活に役立つ話術のコツも解説していきますので、読み終わった頃には、わかりやすい話し方ができるようになるはずです。
言語化力が「頭の良さ」を左右する理由
言語化力とは、難しい事柄をわかりやすく表現する力を指します。日本では、豊富な知識や高い学歴が「頭の良さ」として捉えられがちですが、和田氏は、「わかりやすく話せる力」が真の頭の良さであると述べています。特に、知識を多く持っているだけでなく、その知識をいかに伝えるかが重要だと考えられます。
たとえば、ジャーナリストの池上彰さんは膨大な知識を持つと同時に、それをわかりやすく伝えることで多くの人に親しまれています。和田氏もまた、医師として多くの患者さんと接する中で、相手に合わせて話を簡潔にまとめ、わかりやすく伝えることの重要性を痛感してきたそうです。難しい言葉を並べるのではなく、相手の立場や理解度に寄り添って話をすることが、知性と品格を感じさせるポイントなのです。
まとめる力を鍛える方法とは
結論:話を上手にまとめるためには「まとめる力」を意識しましょう。
- 理由:この力があると、物事の要点を的確に把握し、相手にわかりやすく伝えることができます。
- 具体例:たとえば、「仏教とキリスト教の違い」など宗教の特徴を説明する場合、概要をつかんでから話すと、相手も理解しやすくなります。
和田氏によると、学者や専門家は細かい情報や事例に目を向けがちですが、大切なのは全体像を捉えることです。要点を見極めるためのトレーニングとして、日々の生活や情報収集で**「この話の一番大切なポイントは何か」**と考える習慣をつけるのが効果的です。
また、日本の教育はまとめる力を養う機会が少なく、長い文章を読み解き、要点を捉えるような教育が重視されていない面があります。そのため、文章や情報を要約する力が身についていない方も多いのです。しかし、一歩ずつ意識的に要約する習慣を身につけることで、まとめる力は必ず向上します。
「わかった気になる」と「理解してまとめる」の違い
多くの方が経験したことがある「わかった気になる」という現象は、実際には内容を完全に理解できていないことを指します。本や人の話を聞いてなんとなくわかったと思っても、実際に「その内容をまとめて」と求められると困ることが多いのです。これは、理解と要約は別の能力であるからです。
- 結論:「理解したつもり」ではなく、「要点をまとめる」ことを目指しましょう。
- 理由:内容をまとめることによって、正確な理解と記憶の定着が期待できます。
- 具体例:読書の際は、「ここまでで何を伝えているか」を一度振り返り、要点を考えてみると効果的です。
「なんとなくわかった」で終わらせず、自分なりに要約する訓練を意識的に行うことが大切です。たとえば、日々の読書で、章ごとに内容を要約していく「部分熟読」を実践するのがおすすめです。速読が優れていると思われがちですが、要約する力を鍛えたいなら、ゆっくりでも内容を噛み締めながら読むことが大切です。
話し方に自信を持たせるための「たとえ話」
和田氏は、「たとえ話」を使ってわかりやすく話すことも重要だと述べています。たとえ話をうまく使うと、相手にイメージが伝わりやすく、理解が深まります。たとえば、経済学でよく使われる参照点の考え方を伝える場合、次のようなたとえ話を使うとわかりやすくなります。
- 例:「100億円持っている人が1万円の損をした場合、その損は小さく感じられるかもしれませんが、100億円を基準にすると大きな損害と感じることもあります」といったように、参照点が違えば価値の捉え方が変わるのです。
このようなたとえ話を用いると、相手がイメージしやすく、複雑な概念も理解しやすくなります。話の内容に合わせて適切なたとえ話を選ぶことで、相手との会話もスムーズになり、自然と相手に伝わる話し方が身につくでしょう。
話が上手な人になるための「要約トレーニング」
日常生活でまとめる力を養う方法として、次のようなトレーニングが役立ちます。
- 本を読むときは章ごとに要約:内容を段落ごとに振り返り、「何を伝えたかったか」を一言で要約してみましょう。これにより、要点をつかむ力が鍛えられます。
- 話を聞いたらまず要約:ニュースや会話を聞いた後、「つまり何が言いたいか」を自分なりに一言でまとめるように意識します。
- 日常の会話でたとえ話を使う:複雑な話や説明が必要なときは、例え話を取り入れ、相手がイメージしやすい話し方を心がけましょう。
これらのトレーニングを積み重ねると、話の全体像をとらえ、要点をわかりやすく伝える力が養われます。また、「一番大事なことは何か」という視点を持つことで、相手が求めている情報を的確に伝えることができるようになります。
結論:話し上手になるためのまとめ
60歳を超えても話し方を上達させるためには、「言語化力」「まとめる力」「たとえ話を活用する力」の3つを意識することが大切です。話し上手な人は、話の核を把握し、相手にわかりやすく伝える力を持っています。和田氏の教えを参考に、日々の会話や読書の中で以下のトレーニングを取り入れてみましょう。
- 日々の要約トレーニング:本やニュースなど、情報に触れたときに「何が一番重要か」を要約する練習をしましょう。
- たとえ話を使った説明:複雑な話題は適切な例え話を活用し、相手がイメージしやすくする工夫を。
- 結論から話す癖をつける:「最初に結論を述べ、その後詳細を説明する」ことで、話がわかりやすくなります。
和田氏が示すこれらのトレーニングを取り入れることで、年齢を重ねても頭の回転が良くなり、より魅力的な会話ができるようになるでしょう。話し上手になりたい方は、ぜひ今日から実践してみてください。
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