片側顔面けいれん(hemifacial spasm)は、顔の片側に発生する不随意な筋肉の収縮を特徴とする病気です。筆者自身の手術体験を交えながら、片側顔面けいれんの治療法、糖尿病との関連性、そして最適な治療アプローチについて詳しく解説します。同じ症状に悩む方が冷静な判断を下せるよう参考にしていただければ幸いです。
片側顔面けいれんとは?
片側顔面けいれんは、顔面神経が血管に圧迫されることで発生する神経疾患です。症状は初期には軽度でも、放置すると進行し、生活に支障をきたす場合があります。
主な症状と進行の段階
- 初期
目の周囲の筋肉がピクピクと動くことから始まります。この段階では疲労やストレスが引き金となることが多いです。 - 中期
症状が徐々に広がり、頬や口元まで引きつるようになります。引きつりが頻繁になると、顔全体が強張り、日常生活に影響を与えます。 - 重度
片目が閉じにくくなり、運転や読書など集中力を要する作業が困難になることがあります。まぶしい場所では症状が悪化することも一般的です。
主な原因
片側顔面けいれんの主な原因は、脳幹から顔面神経が出る部分での血管の圧迫です。この圧迫が神経に影響を与え、筋肉が過敏に反応するようになります。
手術体験談:微小血管減圧術の現実
私は片側顔面けいれんの症状が進行し、日常生活に大きな支障をきたすようになったため、「微小血管減圧術」を受けることを決断しました。この手術は、神経と血管の接触を解消し、症状を根本的に改善することを目的としたものです。
手術の経緯
手術前の診察では、MRIで顔面神経が血管に圧迫されていることを確認しました。この状態を解消するには手術が最も効果的だと医師から提案されました。術前には、全身麻酔によるリスクや術後の合併症についても説明を受けましたが、当時の私は、症状が治るならばと手術を決断しました。
手術の詳細
- 手術の準備
耳の後ろを切開し、小さな穴を開ける小開頭手術が行われました。手術室の緊張感と全身麻酔の効き始める感覚は、今でも鮮明に覚えています。 - 神経と血管の分離
顕微鏡を使用して顔面神経を圧迫している血管を特定し、その間にスポンジを挟む工程が行われました。この作業により圧迫が解消され、神経への影響を抑える仕組みです。 - 術後の入院
手術後は1週間の入院を経て、症状の経過観察が行われました。術後直後は引きつりがなくなり、一時的に症状が改善したように感じられました。
術後の経過
術後半年間は目に見えて症状が軽減し、これで改善されたと安心していました。しかし、1年も経たないうちに再び症状が現れ、最終的には手術前と同じ状態、いやそれ以上に悪化したように感じました。
手術による後遺症
- 聴覚障害
左耳の聴力が低下し、特に高音域が聞き取りにくくなりました。医師によれば、手術中に聴覚神経が傷ついた可能性があるとのことです。 - 平衡感覚の喪失
三半規管にも影響が出てしまい、歩行時にバランスを崩すことが増えました。 - 声の変化
全身麻酔時の気管挿管が原因で声帯が傷つき、以前のようなクリアな声ではなくなってしまいました。
手術がもたらしたのは、わずかな症状の緩和と、重大な後遺症だけでした。今振り返ると、あの手術が本当に必要だったのかと自問せざるを得ません。
糖尿病との関連性:見逃せない視点
私が手術を受けた後、症状の再発に加えて糖尿病性神経障害が原因の一つかもしれないと考え始めました。糖尿病が神経の脆弱性に影響を与え、片側顔面けいれんの発症や悪化に寄与している可能性は十分にあります。
糖尿病性神経障害のリスク
糖尿病が進行すると、末梢神経や自律神経に影響を及ぼし、以下のような症状を引き起こします。
- 末梢神経障害:手足のしびれや感覚鈍麻
- 自律神経障害:血圧や心拍数の不安定、消化器系の異常
糖尿病性神経障害により神経が脆弱化し、片側顔面けいれんの症状が強まることが示唆されています。
糖尿病管理の重要性
- 血糖値のコントロール
血糖値を適切に維持することで、神経の炎症を抑え、症状の悪化を防ぐ可能性があります。 - 生活習慣の改善
食事療法と運動療法を取り入れ、神経の健康を保つことが重要です。
手術以外の治療法と糖尿病管理の重要性
糖尿病との関連が疑われる場合、手術を考える前に糖尿病管理を優先することが最善の選択肢です。
ボツリヌス毒素治療
手術を回避しつつ症状をコントロールする方法として、ボツリヌス毒素治療が挙げられます。この治療法は3~4か月間症状を抑える効果があり、糖尿病患者にも比較的安全です。
血糖値管理の効果
糖尿病性神経障害を改善することで、片側顔面けいれんの進行を抑えることが期待されます。
個人の意見:糖尿病管理を優先してから治療を検討
あくまで個人の意見ですが、もし糖尿病や血糖値が高い傾向がある場合、まずは血糖値のコントロールから始めるべきだと考えます。それだけで症状が収まる可能性があります。
そのうえで症状が改善しない場合に、手術や他の治療法を検討するのが最善の選択肢ではないでしょうか。
まとめ:慎重な選択が症状改善への道
片側顔面けいれんの治療には手術以外の選択肢があり、糖尿病管理が重要な役割を果たします。症状が日常生活に大きな影響を与えている場合でも、すぐに手術を選択するのではなく、まず血糖値管理を徹底することを強く推奨します。
行動喚起
片側顔面けいれんや糖尿病性神経障害について詳しく知りたい方は、東京都済生会中央病院:糖尿病性神経障害のページをご覧ください。
正しい選択を行い、より快適な生活を取り戻す一歩を踏み出してください。
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