ザイム真理教の正体とは?
ザイム真理教。耳慣れない言葉かもしれませんが、実は「財務心理教」という形で一部で囁かれ続けていた概念です。財務省の方針や方針に従う政策に対し、何の疑問も持たずに盲信し、増税や財政政策に不満を抱えながらも従っている日本国民を「信者」として見立てたこの表現は、経済アナリスト森永卓郎氏によって本書の中で鮮やかに浮かび上がらせられています。
では、なぜ財務省はこうした「カルト的」な経済政策を取っているのでしょうか。財務省は日本のお金を管理する機関であり、その役割は税金の収集や予算の配分にあります。しかし、財政破綻の危機を掲げ、増税に頼る姿勢は一般の宗教組織よりも悪質だと批判されています。国民負担率は過去数十年間で倍近くに上昇し、私たちの手取りが目に見えて減少している原因にもなっているのです。
財務省が主張する「財政均衡主義」についても、国民に負担をかけるばかりで、経済成長にはつながっていないという点が問題視されています。特に、成長を目指すのではなく、増税によって税収を増やそうとする意識が財務省の中で根強くなっているという批判が多いです。
財務省の増税に頼る姿勢と日本経済への影響
この増税一辺倒の政策は、日本経済の成長を妨げていると森永氏は指摘します。財務省の政策は「財政緊縮」と呼ばれるもので、増税を中心に据え、支出を抑えることを目的にしています。しかし、過去のデータを見れば、増税が消費を抑え、経済成長を鈍化させてきたことは明白です。1989年に導入された消費税が3%から始まり、5%、8%、そして10%へと引き上げられてきた歴史は、国民の可処分所得を減らし、結果的に経済の冷え込みを招いてきました。
特にアベノミクスの一環として実施された「異次元緩和政策」では、インフレターゲットを設け、景気を刺激することで経済成長を図る取り組みが行われました。しかし、消費税の引き上げにより、その効果は大きく減退してしまいました。金融政策がアクセルを踏む一方で、増税というブレーキをかけるような状況が続いているのです。
このように、経済を冷やし、国民の生活を圧迫する増税路線は、日本経済に多大な悪影響を与えてきたといえるでしょう。
ザイム真理教がもたらす国民への洗脳効果
ザイム真理教の恐ろしい点は、私たち国民が知らず知らずのうちに財務省の主張を信じ込まされ、増税を容認してしまっていることにあります。森永氏は、財務省のこの増税路線をカルト的と批判するのは、ただの冗談ではないと説明します。メディアや政治家が「日本は借金まみれで財政は破綻寸前」という情報を発信し続けることで、国民は「増税しか道はない」と思い込まされるのです。
そもそも、日本政府の借金問題も、実は少し違った側面があります。確かに、財務省のデータに基づけば、日本は108兆円以上の国債を抱えているとされています。しかし、日本には資産もあるため、実際には純粋な借金額はかなり少ないと森永氏は指摘します。さらに、日銀が国債を購入し続けることで、その利息分を補填しているため、急速な返済が求められるような状況ではありません。こうした「真実」はあまりメディアで報じられることがなく、増税に反対する意見も少数派とされています。
マイナスの教えによる支配
財務省がカルトとされる所以は、宗教とカルトの違いにも表れています。宗教が「天国に行ける」というポジティブなメッセージを軸にしているのに対し、カルトは「地獄に落ちる」というネガティブなメッセージで信者を支配します。財務省も、「財政破綻が待っている」「将来世代が苦しむ」という恐怖を煽り、私たち国民を支配しようとしていると森永氏は考えています。
日本がもし財務省の増税路線を信じて従い続ければ、私たちの生活がさらに厳しくなり、日本経済も成長しないまま低迷を続けることになります。このように、財務省はカルト的な支配を行い、国民の考えをコントロールしているというのが、森永氏の主張です。
ザイム真理教に抗うための手段と個人の選択
では、この「ザイム真理教」から脱却するためにはどうすれば良いのでしょうか。森永氏は、まず自らの洗脳を解き、財務省が一方的に押し付けてくる増税路線に疑問を抱くことが重要だと説きます。実際、日本が増税を繰り返してきたこの30年で、国民の手取りは減少し続け、若者の消費意欲も冷え込んでしまっています。これが、日本経済が成長しない原因の一つといえるでしょう。
増税ではなく、適切な財政出動や減税を通じて、経済成長を促すことが日本には必要です。森永氏はまた、経済成長によって税収を増やすことも可能であり、短絡的に増税をすることだけが解決策ではないとしています。実際、スウェーデンやフランスといった国々は、日本よりも高い国民負担率を誇りますが、国民に対する社会保障が充実しており、国民は負担を納得して受け入れています。一方で、日本の社会保障はその充実度に欠けており、高い国民負担率に見合う見返りが少ない状態です。
財務省の増税路線が国民にメリットをもたらすどころか、日本経済を低迷させているという点において、増税に頼らない政策転換が求められるべきだと森永氏は訴えています。
日本経済の未来――「成長戦略」が欠けた現状への警鐘
森永氏は、ザイム真理教からの脱却が難しい現状について警鐘を鳴らしています。日本政府が財政均衡主義に固執する背景には、増税を「勝利」として評価する財務省の内部評価制度が存在していると言われています。増税を達成することで評価され、天下り先を確保するなどの利益を得る官僚が増える一方で、日本経済は停滞を続けています。
アベノミクスの「三本の矢」に含まれた「成長戦略」も、いまだに十分な効果を発揮しておらず、経済成長が阻まれているのが現状です。日本が真の成長を取り戻すためには、消費税に頼るのではなく、企業や個人が投資や消費に対して積極的になれる環境を作ることが不可欠です。
日本はかつて世界トップの半導体製造国であり、輸出国としての地位を確立していました。しかし、不平等な日米反動体協定などにより、その地位が大きく揺らいでしまった過去もあります。森永氏は、日本が再び経済大国としての地位を取り戻すためには、企業が積極的に投資し、経済成長に寄与する政策が求められるとしています。
終わりに―ザイム真理教を超えて新しい日本経済へ
ザイム真理教の存在に気づき、自分自身の生活や経済に対する考えを変えることが、未来の日本経済にとって重要な一歩です。日本が30年以上も停滞している背景には、財務省の増税路線や経済政策が影響していることは間違いありません。財務省の増税政策に無意識に従うのではなく、日本経済が再び成長するための道筋を一緒に考え、未来を切り開いていきましょう。
今後も、財務心理教の問題や日本経済の改善策について情報を発信し、国民全体で考えることが求められるでしょう。今の現状から抜け出し、新しい未来を築くために、私たちもザイム真理教に対して声を上げる時が来ています。
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